歌詠みの綴り

短歌または詩。その説明

2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

武装中

私は私を守る。私を傷つける様々なものから。言葉や態度や数字、それを束ねる存在というもの。武装していないと決壊するダムのようにダメになってしまうから。私は武装する。 うつくしと我あが思ふ心早川の塞せきに塞せくともなほや崩くえなむ 重い鎧兜を身…

夢かもしれない

また逃げちゃうのかな。幸せだと思った瞬間が。手の中から、水を掴むみたいに。 両方の手のひらいっぱいに汲んだ水もするすると逃げて行くみたいに、あなたとの時間もいつか消えちゃうのかな。 そばに居たいな。猫みたいに、かまってもらえなくてもいいから…

今すぐ逢いたい

家の中でまともなコミュニケーションができない。息が苦しい。今すぐあなたに逢って安心してため息をつきたい。 なにも持たなくていい。武器になるものはなにも。自分を守るものをなにも。あなたのそばでだけそれができる。世界でたった一つの場所。 あなた…

呼び出し

「おはよう」ってどうしてわたしが昼近くまで寝てるの知ってるのか判らないけれど、昨日は誘わなかったのに、「今日1時間なら」っていきなりうれしいことから始まる一日。 何が起こるか分らないから急いで夕食の支度を済ませてから化粧する。 まるで見透か…

新しいあなた

海を見るのが好きなんて、何人に話した?私は信頼されてるのよね?あなたは自分の好きなことを一生懸命なことを初めて教えてれてくれた。

あなたに会えるまでの時間

会えるのは、たまに。でも真夜中にあなたと過ごす長電話は会っているのと同じくらい幸せ。いつもワンコールで出てくれるのよね。そばに居て時間を過ごすこともたいせつ。あなたの温もりを覚えるのにたいせつ。でも電話でしか言えないことも有る。だから私た…

大丈夫とあなたは笑う

わたしは勝手に傷ついて拗ねていた。確かめもせずに。あなたの些細な言葉に傷ついて。あなたのことになると、わたしはいつもとても単純で、聞いたまま見たまま触れたままで全てを決めてしまう。わたしが傷ついたことを知ると、あなたはいつも慌てて、わたし…

もしかしたら

単純な言葉の行き違いだけで、わたしは勝手に傷ついていたのかもしれない。あなたを責めるような手紙を出してしまった後で、あなたの本当を知る。わたしをたいせつにしてくれているあなたを知る。もしかしたら、あの日あの時も、今日のこの今も、わたしは愛…

会いたなら

エスカレーターでゆっくり降りようとあなたは言うから、少しだけ寄りかかっても良いのかなと思ってしまう。受け止めてくれるけど抱きしめてはくれない、あなた。やっぱり一本見送ると、決めた気持ちを解りますか?また、会えるものがあれば声かけるよ、違う…

そばにいて

たとえばみんなと食事する時に席が離れても「あとで行くから」 わたしだけワインが残って残ってしまったらナイトのように戻って来てゆっくりでいいからと笑う 自転車を引きながら歩く夜風は少し冷たいけれどあなたがそばにいると気にならない

愛について

重い荷物にだけはなりたくない。そうでないところで、心のやわらかいところでつながっていたい。春過ぎて きみと重ねる 逢瀬あり 重なりゆくは 花積もる如光射す 道歩む如 きみとゆく 五月の風に 揺れる桜葉感情の 切っ先は先ず 話したい 会えない夜は 手紙…

確かめるように、覚えるように、感じるように、あなたは私の手を。綺麗な手だと、こんなに一緒に居るのに、手をつないで居るのに、今気づいたの。掌を爪の先まで、顔にかける時間と手間をかけていると、あなたは知らない。あなたの手に寄り添いたいのは、こ…

うつくしかったもの

五月の新緑の中、金色に光る麦畑の波打つ夕暮れ 玄関口に植わっていた篠竹の新しい葉が開く前に葉の先に着く水滴の輝き 二階の廊下から屋根に逆さまに寝転がってずっと見ていた冬の星座 新しく植わった田んぼの緑の目に痛いこと 西山に沈む太陽が沈む直前に…

何気ないこと

今日面白い演奏会のTV放送があるんだよ。そんな何気ないことでもらう電話がうれしい。 なんでも面白いアプリがあるんだってさ。貴女なら遊べるんじゃないかと思って。と、携帯電話すら持たない主義のあなたから電話。 あなたから非通知の昼間の電話。夫がい…

記憶がない

夜中に睡眠薬飲んでから電話したら留守で、それはいつものことなんだけど、その1時間後にまた電話してしまった。その後の記憶があやふや。ほとんど馬鹿だと思う。あなたはワンコールで電話に出てくれて、お風呂上がりでシャツだけ着るからちょっと待ってね。…

通う心

美しいものに夢中になる背中を見ていつも胸が痛かった。あなたは優しい。悲しいほど優しい。でもあなたの心に私は住んでいないのだ、と。無理矢理言わせた「また会いたいよ」を謝るわたしに「もういいよ。もういいから。」って遮ったのは煩わしいのかと思っ…

夢の中で

眠れないわたしに、眠れば夢ですぐに会えるよと。電話で話した日は眠れるの?そう、あなたの声はお薬より効くの。会いたいと思ってくれないと夢に出てこないんだからって少し拗ねたら、僕も強くそう思ってるから、あなたの夢のステージ脇で待ってるから、早…

一緒にいること

一緒に絵本を読む。手が触れても肩が触れても膝が触れても何か自然ですごく安心する。いつもいつも不思議なこと。この人と居るとどうして私は無防備なんだろう。人生の中でこんなに安心して一緒に居られる人はいなかった。この人は私を傷つけない。無遠慮に…

下調べ

いつも通ってる美術館なのに、わたしが電車で来るからって道順を下調べして汗をかいて駆けつけてくれる。大切にされててうれしい。 私が行きたがっていたレストラン。ちゃんとメニューが変わったことまで調べてあって、「美味しそうだな」って。だから同じメ…

引き寄せられた手、重なる手、見送る手

混んだ展示会場で、思い出したように引き寄せられた手。あなたの体温が泣きたくなるほどうれしい。 私はふいに手を取られて胸が痛い。あなたはどんな気持ちなんだろう。 強く握りしめるわけでなく、離すわけでもなく、お互いの体温を感じるほんの僅かの時間…

重なる時間

あなたが私を誘ってくれるから、2人の会う時間はどんどん重なっていく。心も重なるといいんだけどな。 あなたの観たい展示会はもうすぐ終わり。私の観たい特別展ももうすぐ終わり。あなたのを優先してもよかったんだけど、じゃあ両方一緒に行こうって、嬉し…

コーディネート

こんなに頻繁に会えるなんて思ってなかったから、服のコーディネートに悩んでる。ちょっとだけ意外だと思われたい。でもかわいいと思われたい。明日着るための服を並べながら。私にとっていちばん大切な、あの美術館へ着ていく服は決まってるから、イメージ…

聴きたい

今日は電話に出られない。明日なら大丈夫。ねえ、そう言って約束するのはうれしいけれど、あなたから「電話して」って聴きたいよ。 あなたの瞳は優しく微笑んで、次に会う日を楽しみにしてる。でもあの日に聞いた「また、逢いたいよ」の甘い響きがもう一度聴…

生け花展

会場を彩る花はどれも美しいけれど、わたくしは急いで来たあなたの額の汗の方が美しいと思う。 どんな展示会場でも時間を無駄にしないように先に全て用意してくれる。その優しさに泣きそうになる。 あなたの好きな花と私の好きな花は違う。でもそれをお互い…

人混みの中で

終演後のロビー、あなたを見つけるの、たいへんだったんだから。顔だけじゃなくこっちを向いて欲しかったな。 にっこりして「あした、気をつけて来てね」その約束はうれしいけど、せっかくのオシャレも見てほしかった。 2000人の人が狭い空間に居たって見間…

お風呂

今日は深夜になっても電話も使えないし電話しに外出もできないから、とお風呂に入りながら電話してみた。お風呂に浸かって汗ぼろぼろかきながらだよ、とわざと言ってみた。あなたはたぶん動揺を隠すためになんども「湯冷めしないように」と繰り返してた。

プレゼント

なんだかとても事務的に何でもない風にいうからつい聞き逃してしまって、あとから気がついたじゃない。初めてのあなたからのプレゼント。初めてのあなたからのお揃い。

パブリック

電話はパブリックなのだという。確かに、家の電話だし、あなたは携帯電話を持たないから。じゃあ、プライベートはどこから?って次に逢ったら聞こう。 『観とかなきゃいけない美術展』というのにあなたはわたしを連れて行く。お仕事なのか個人的興味なのかそ…

「逢いたい」

あなたの優しさを利用してごめんなさい。でもどうしても「逢いたい」のひと言が欲しかったの、ごめんなさい。泣きそうなわたしにあなたは「わかったよ。もう、わかったから」。それがどういう「わかった」なのかは怖くて確かめられなかった。でもあなたも逢…

独り

三日月の 光赤くて 独り行く この恋の道 細く照らせば 最初から 独りと決めて 行く道に つい惑いしは きみの優しさ 遠く見る シリウスのごと 我が恋は 届かぬものと 覚悟して行く 結び髪 直す我が手を 止めもせず 柔らかな笑み 胸にささりて 友達と 違う近さ…